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【編集者に聞く】産業界も先進国も避けてきた温暖化問題の根本が見抜ける本

地球を冷ませ!―私たちの世界が燃えつきる前に ジョージ・モンビオ著 柴田譲治訳 定価(本体1905円+税)

【編集者へインタビュー】 今回は、小社の編集者・Tさんが担当した書籍についてお尋ねすることにします。Tさんは、得意分野は、心身医学・精神世界・超心理学もので、ある仏教系の団体に5年間つとめた後、弊社で翻訳ものを中心に編集しています。
 もともとは翻訳者志望だったこともあり、小社に来て翻訳書を担当し始めた時点から、さる有名な翻訳者に手ほどきを受けたそうです。そういう意味で、翻訳とは「こうあるべき」が仕込まれ、翻訳者さんとともにベストな結果を得るため、土日も返上して一冊一冊チョー丁寧に仕上げるようになったとのこと。ちなみに、クラシックの知られざる名曲・名演奏のコレクターです(こっちも本業になるほど?詳しいよ)。


―――環境問題が喫緊の課題になってきた今、「いのちと環境ライブラリー」の4冊目として、とても面白い本が出たと思って、注目していますけど、この本はどうやって見つけてきたんですか?

Tさん もともとは翻訳エージェントさんのご紹介だったんですが、レジュメを読んでみた時点で、「おお! これは生半可な『環境もの』の本ではないな!」という著者のメッセージの熱さ(HEAT)とパワーがガンガン伝わってきました。はたして契約後、世界の14カ国で版権が売れたことを知らされました。

(著者モンビオ氏)


―――著者のガッツに惚れたんですね。私なんかは、環境問題でも厳しいことを言われると身を引いてしまいますが、Tさんは、著者のその潔さ、物言いのハッキリさが逆に良かったとか、聞きましたが、そうなんですか?

Tさん 京都議定書で日本の場合は6%の二酸化炭素削減目標が定められ、なのに我々はいまや8%も排出を増やしちゃってるという、かなり世界的に恥ずかし〜いていたらくです。みんな省エネ製品を買ってるし、省エネ技術も世界に自慢しているのに、家庭でも産業部門でも排出は増えている。これって何なの? って感じです。はっきり言えば、「地球に優しい」を謳い文句にした新たなマーケティングに乗せられての、新たな大量消費ですね。

 国全体の排出量の削減をきちんとやらないと、いくらエコ製品が増えても、排出権取引をやっても植林してもハイブリッドカーが増えても意味がないんですが、どうやら国も産業界も、ちょ〜っとCO2削減をしましたというのを言い訳に、従来型の経済成長のほうを最優先したいみたいですね。車や家電製品は増える、道路も住宅も増える……。

 モンビオは環境問題における「偽善」や「やってるふり」や「実はお金儲け(エコマーケティング)の手段にしている」人々を本書でズバッと批判していますが(もちろん科学的データと事実にのっとって)、これは私がもともと持ってた問題意識と重なります。

 モンビオは利害関係や皮算用や政治的妥協(サジ加減)ではなくジャーナリストとしての正義感と公正さから、「いちばん貧しい国の何億もの人々の生活が、いちばん豊かな国の人々のライフスタイルによって破滅の危機に脅かされている状況」を何としても正さなければならないという使命感から本書を書いています。

「豊かな国は二酸化炭素を90%減らすべき!」「人間はもう飛行機に乗ってはいけない!」「エコツーリズムは偽善だ!」「炭素相殺ビジネスは単なる免罪符だ!」なんて事言っちゃって大丈夫かな……? なんていう躊躇がぜ〜んぜんない、まさに「世界が助かるんなら自分が失うものは何もない!」という潔い覚悟がカッコ良すぎです。

 彼は本書の紹介文で、「たとえ自分の友であっても敵であっても、正しい見解は取り入れ、間違った見解であれば容赦なく切り捨てた」なんて言ってます。サムライ環境活動家ですね。


―――編集し終わって、読者にはどこを読んでほしいですか。端的に教えてくださいませんか?

Tさん アル・ゴアの『不都合な真実』は、「地球温暖化は事実である」という点が強調された啓蒙の本&映画でしたが、モンビオはその先の、「では、どんな社会をみんなで作ればいいのか?」という具体的な提案を本書で行なっています。世界を本気で地球温暖化から救うための新しい社会のすがたはこれだ! という、著者の描いた新しい世界のデザインを、本書を読み終えたあともぜひ忘れないようにしていただきたいと思っています。

 実際読んでみると、読者の方々は彼のアイデアの数々に納得されるでしょうし、そうでなくても、地球温暖化問題についていきなり隣の人に「こうしなきゃだめなんだよ!」と熱く語りかけちゃう人に変貌しちゃってるかもしれません。私自身もそうなっちゃいました。皆さんが知らないオモテの情報・ウラの情報が盛りだくさんです。

 モンビオが提案してるのは、別に、耐乏生活やガマンを強いられる「昔の生活に戻れ」っていう生き方ではありません。電気はつけたままで、ショッピングもし、今以上に快適な家に住み、自分の子供も孫もそれを継承してさらに発展させていけるような、世界の人々が平等に豊かに安全に暮らせるような、新しい世の中のすがたです。
 
「CO2なんてちょっと減らしとけばいいよ」的ないいかげんな現状維持でもないし、ガイア理論で有名なラブロック博士みたいに「人間はこれ以上地球に負担をかけてはいけないから、できるだけ自然と切り離された形で生活して、食べ物も工場で作ったら?」みたいな極論でもない。私たち全体が決断さえすればいまの技術で十分可能な、文明生活を維持したまま温暖化からもピークオイルからも脱出できるエネルギーの作り方・使い方・ライフスタイルを教えてくれる本です。

 私たちは一人ひとりの立場で、また知恵を出しあって、社会のなかでこうしたビジョンを実現するための貢献をしていけばいいのだと思います。


―――そのような、環境問題の新しい基本図書になりそうな本であれば、版権を取得できたのはラッキーでしたね。あまりに大胆な内容で、他社は二の足を踏んだのでしょうか?

Tさん 環境問題に関する数字は「正しい数字」が変わりやすいし、幅がありすぎるので書くのは勇気があるなあと思う反面、具体的な数字がいっぱい出てくるので「小難しい本」という印象だったのかも? モンビオは万全を期するため、ホントに信じがたい量の科学的データにあたってスキがないように本書を仕上げています。

 しかし先にもお話しましたように、私は読者の方々に、モンビオのビジョンをこそ共有してほしいと思っています。ここだけの話ですが、専門家ではない一般読者の方々は、数字のところは大まかにつかんでいただければけっこうですので、地の文にあるモンビオのメッセージをこそ読んでいただきたいです。


―――ところでこの本を編集するに当たってはずいぶんな仕事量でしたね。参考文献の膨大なURLなんかも全てリンクをあたり直し、原書の統計的数値も何度もチェックしたそうですね。訳者さんによる詳細な訳註もふくめ、その熱意たるや「ここまでやるか?」なんて思いますが、今回はなぜそこまでやられたんですか。

Tさん 著者のサムライ精神にほだされたわけで、その努力の結果を邦訳で間違って紹介したら何にもならない! そう思ってやりました。参考文献にはモンビオが精選した科学的データや統計資料のURLが470件近くも入ってます。より詳細に本書の主張を検討されたい方々のために、ペーパーバックの出版後リンク切れになっていたアドレスは極力アップデートしました(こちらからダウンロードしてご覧になれるようにしました)。

 訳者の方には、統計数値のCKとあわせて大変なご協力をいただきました。なんで「ここまでやるか?」と言われれば、著者もここまでやっているからであり、そういうモンビオの熱意にほだされたとしか言いようがないです。
 
 たとえば、ピアノの練習で楽譜にそって手を動かしてますと、ただ聴いていただけの時にくらべて、作曲家がその曲をどんなふうにつくりあげているかが想像できますが、それに近い感覚がありますね。


最後に なるほど、編集者にも著者の熱意が乗り移ったように熱いですね。今回はどうもありがとうございました。今後とも、私たちの社会が少しでも良い方向に変わっていくための道しるべになるような本の編集を楽しみにしています。


モンビオ氏が本書の趣旨を語っているインタビュー映像「地球温暖化に取り組まないのは、何億もの貧しい人々に死刑を宣告するようなもの:英国の環境活動家が訴える環境問題の倫理的側面」(「デモクラシー・ナウ!」日本サイト)

【編集者に聞く】「昆虫観」に変革をうながす画期的な本

昆虫 この小さきものたちの声―虫への愛、地球への愛―ジョアン・エリザベス・ローク著 甲斐理恵子訳 定価(本体1905円+税)

【編集者へインタビュー】今回は、小社の編集者・Kさんが担当した書籍についてお尋ねすることにします。Kさんは、得意分野は、心理学・精神世界もので、若い頃はインドを放 浪していたこともあるそうです。その後、社会復帰して(笑)、某出版社に3年、また別の出版社で11年つとめたあと、弊社で翻訳ものを中心に編集しています。


 今回の本はタイトルも「昆虫」ということで小社でも珍しい本ですね。それも「いのちと環境ライブラリー」の3冊目ですね。では、はじめになぜ、昆虫の本を企画されたのかお尋ねします。昆虫についてふつうあまりなじみがないと思いますが、その昆虫のどういった魅力を読者に知ってほしいで すか?

Kさん ……最初の質問については、「昆虫」の本を企画しようという意図は当初ありませんでした。「いのちと環境ライブラリー」の一環となる本を探しているうち、本書を見つけ、昆虫というものを介して環境に対する意識を高めてくれるのではないかな、と思ったわけです。二つ目の質問については、昆虫の魅力を知ってほしいというよりも、昆虫に対する自分の心の在り方を知ってほしいと思います。


 今回の本の魅力は、とりあえず一言で言えば何でしょうか?

Kさん 虫に対する見方、気持ち、接し方に大変化が起こるという点でしょうか。たんに昆虫に関するウンチクを集めた本ではなく、知識・情報をもとに自分自身の「昆虫観」に変革をうながす画期的な本で、そういう意味ではきわめて実用的な内容と言えるでしょう。虫が怖い、という人にぜひ読んでほしいと思います。実際、私も無下にゴキブリを殺すことができなくなりました。それがいいのか悪いのかは別にして。


 昆虫記みたいなものではではなく、「昆虫観」に変革をうながす画期的な本とは、興味深いですね。私の感じでは虫って害虫だと思われているけど、そうじゃない。ということでしょうけど、Kさんは、どう「昆虫観」が読む前と後では変わりましたか? その画期的な部分を教えてくれるとうれしいです。

Kさん ……一言でいえば、虫に対して優しい気持ちを持てるようにな りました。大げさに言えば、この宇宙に誕生した生命体としての同胞意識というか……


 また、実用的なところはなんでしょうか。これを読むとゴキブリが愛おしくなるとか、なにか即効性があったりするのですか。

Kさん……ゴキブリに対するやみくもな嫌悪感はなくなりました。べつに愛おしくはなりませんが、ゴキブリが出てきても「やあ」と挨拶できる程度にはなりました。変かしら?


 また、原題からすると、「虫たちのメッセージ」を聞くという感じがありますが、どんなメッセージがありますか。

Kさん ……それは受け手によって解釈はさまざまではないでしょうか。たとえば舞っている蝶を見て、「ああ、きれいだな」と思う人もいれば、そこに「自由になりなさい」というメッセージを読み取る人もいるでしょう。くわしくは本書を読んでいただければと思います。


 そこにはスピリチュアルな意味などもあるのでしょうか?

Kさん ……そうなんです。受け手の心、魂、人生に影響を与えるようなメッセージも数多く紹介されています。


 カマキリが神の化身だと書いてあるとのことですが、どうしたらその境地に行けるのでしょうか? 私の知っている話にも、蚊がたくさんいるところにいたにもかかわらず祈ったら蚊にも刺されなかった、という不思議な話は聞いたことがあります。そのような境地には興味があります。

Kさん ……アフリカの一部ではカマキリが聖なる存在として崇められているそうです。虫を聖なる存在とみなす伝統は世界各地にみられます。どうしたら蚊に刺されなくなるかは知りませんが、虫を含めてこの宇宙の万物が聖なるものである、という認識を持つなら、おのずからその人に現れてくる世界も変わってくるのではないでしょうか。それがまさに著者が本書で言いたいことだと思 います。



 ひとつ気になっていることがあるんですが、このカバーのソデ(表紙に折り込んだ部分)に著者のプロフィールを載せていますね。そのところになぜカマキリの写真(上の写真)が載っているんでしょうか??

Kさん いや、よく見てください。ちゃんと著者の指も写っています(笑)。まあ、デザイン上の都合もあるのですが、このカマキリ、著者が原稿を出版社に送った朝、玄関に現れたのだそうです。本書の最終章はカマキリに関する内容ですし、著者の写真は手許にないし、「聖なるカマキリ君」をここに載せても許されるかな、と。余談ですが、本書の見本ができて一段落つき、ちょっと一服しに外に出たとき、私もカマキリ(下の写真)に遭遇しました。この数年カマキリなんて見たことなかったのに。

最後に 今回はどうもありあがとうございました。今後とも楽しくためになる本の編集を楽しみにしています。